大阪市生野区に住む一人の自閉症の青年 李復明(リ・プーミョン)。彼に惹かれ、時には反発し、かき回される街の人々。彼らの生み出す笑いとエネルギーの中で、映画は一つの「ありよう」を見つけ出す。それは、人間としての約束事と絆を基盤とした生活が、何の無理もなく存在している姿だ。「障がい者」でも「健常者」でも、その人はその人のままが一番いい。お互いに至近距離まで近づいて、自分のものではない呼吸を感じ、そしてじっとただ傍にいる。人々のこの「ありよう」は街の至るところでささやかな光を放ち、その光を拾い集めて本作はできあがった。人々は自転車のペダルを踏み続ける。それぞれのスピードで、それぞれの角を曲がって、それぞれの方向へ。映画が終わっても。
文部科学省選定
社団法人日本PTA全国協議会推薦
大阪府教育委員会推薦