本年5月 福岡県田川市の石炭資料館等が所有する山本作兵衛氏の炭鉱絵画や日記がユネスコの世界記憶遺産に日本で初めて登録されました。
弊社では2004年度に山本作兵衛氏の炭鉱絵画をベースにして明治から大正、昭和に至る炭鉱の人々の生活を描いたドキュメンタリー映画『炭鉱(ヤマ)に生きる』を制作し、劇場公開や自主上映などしてまいりました。
この度、山本作兵衛氏の炭鉱絵画が世界記憶遺産に登録されたのを記念してアンコール上映をすることになりましたのでご案内申し上げます。
山本作兵衛氏は、炭鉱の仕事や暮らしを子どもや孫達に残すために絵画にしたと言われています。そのため、一枚一枚の絵には説明書がついています。
この映画では、石炭資料館に保存してある山本氏の炭坑画585枚の中から99枚をピックアップし、それ以外の説明書や、「山本作兵衛ノート」と言われるメモ等を参考にして構成やナレーションを作成しました。
山本氏は、炭坑の中の仕事や、事故、それにまつわる伝説、また炭住での生活や子どもたちの遊びなど人々の暮らしを丹念に描いています。そこには、地域で“共に生きた人々”がつぶさに感じられます。
私達は、山本氏が描いた時代と時間的には差異がありますが炭鉱で実際に働いていた人々にも当時の出来事をインタビューしました。
すると、筑豊では山本氏が描き記した炭鉱絵画とインタビューした人々の証言とは見事に一致していました。近代的な機械が導入されようとも起きる事故は同じで、落盤でありガス爆発であったりしました。その事故に備えて、炭鉱の人々が“共に生きる”姿勢もなにも変わりませんでした。
現在、筑豊の炭鉱は最後の貝島炭礦が閉山して35年になります。
山本作兵衛氏の炭鉱絵画がユネスコの世界記憶遺産に登録されたのを機会に、明治 大正 昭和と日本のエネルギー産業を支えてきた“炭鉱”の何百万の人々を再度この映画を通して考えていただければと思っております。
尚、ポレポレ東中野では上映期間中、山本作兵衛さんの本物絵画(撮影で使用した作品ではありません)を数点と、山本作兵衛ノートのコピーも合わせて展示します。
ご来場をおまちしております。
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